もう、十数年まえ。たぶん、地域のお祭りかなんかだったと思う。会場に到着して、実行委員らしき方に「今度やるライブのチラシを…」とお願いしたところ、「折り込みは、ご自分でお願いしています。あちらのテーブルへ」と、会場の隅に案内されました。
長机が5つくらい並べられ、大きな正方形ができていて、その正方形の各辺には、ぐるりと20種ほどのチラシが並べられています。僕のチラシもその列に加えられました。
実行委員の方が説明している最中に到着したので、よくわからないままチラシ持参者らしき人々の後ろに並んだのですが。
「では、はじめまーす!時計回りでお願いしまーす!」という実行委員の合図とともに、列が動き始めました。そう。チラシ持参者がチラシ全種を一枚ずつピックアップして束を作り、出来上がったものを中央に積んでゆくという、一見平等のようでいて、果てしなく不効率な作業です。
「これって、みんなで机を数百周まわるってことですよね?絶対、他にやりようがありますよね?」
あまり、初対面のひとに話しかけたりしないタイプの僕ですが、さすがに前に並んでいたひとに同意を求めてしまいました。
「ですよね〜。でも、もう始まっちゃいましたからねぇ」と。
なんて不甲斐ない答えだ。このモヤシッ子め。一緒に立ち上がろうぜ、ブラザー…と言えなかった自分もまた不甲斐ないではないか。
結局、イベント開場前にクタクタになってしまったわけです。手首とか変な具合いになってしまって。
それでも、なんかよくわからない達成感みたいなものがあって、結束は深まったような。
あれが、絆ってヤツなのだろうか。